蝶を呼ぶ、自然な庭….つくば市内、真冬にルリタテハ

その日の支度を、不精に山にしてある洗濯物のなかに探すと、黒っぽい蝶がすくっと立っているのに気づいた。….ルリタテハだ。あの鮮やかな瑠璃色のおもてを見せなくても、深い色合いが美しい翅裏。廊下の奥の暗がりで目をこらす綾のあらい織物を思い出す色だ。前日と違い、冷え込んだ朝は飛べないのでおとなしい。
 その前日とは、たいそうあたたかい一日だったので、越冬中のルリタテハが飛びだして、偶々干してある洗濯物のなかに潜り込んで休んでいたところ、そのまま夜になって、取り込まれてしまったと想像する。
2015-01-28 08.27.44
 庭にもやってくる。しかしこの蝶は花を訪れことはない。春ならば庭で発酵してる生ゴミ堆肥あたり、夏ならば樹液のでてる場所、秋ならば、熟して落ちた果実に来てるところを見る。最も多いのは道端の、なんでもない地面かもしれない。足下から突然早い影が飛び立ったかと思うと、すぐ向こうで引き返し、同じ場所にとまる。なわばりを持っているのだ。
 庭で出会おうとするなら、サルトリイバラ、ホトトギス、ウバユリなどを植えておけば、運がいいとやってくる。一般的な外構工事のあとでも、ほんの少しの植栽スペースがあれば、または土の部分があれば、自然はしぶとい。幼虫は触るのは躊躇するかたちで、成虫の美しい姿からはほど遠い。ルリタテハと知っていれば、その怖い姿にもママは怖じけずに、子ども達と庭で育つ蝶を観察しながら、いろんな話ができるかも。せっかく蛹までいっても、蝶が羽化せず、寄生蜂が出てくることも多かったりする。それも巡る自然。

 中学生の頃、御前山(茨城県中央部付近)で初めてこの蝶を採集し、鈍く輝く青い蝶に興奮して帰宅すると、玄関の前の道路にも飛んでいたことがあった。平地林の普通の蝶であったのに、意識の外にいたわけだ。

 


つくば、茨城のお庭屋 ニハソノ 地域の自然に沿った植栽、造園、外構
樹木医・森林インストラクターの経験と知識からのプランづくり~施工・管理まで