以前の庭から樹木の移動 つくば 自然なお庭

  (  前回の続き  庭のつくりなおし  renovation  )

3. 以前の庭、実家の庭などからの移植


引っ越しに際し、以前住んでいた庭で育てた樹木を移動させたいと考える人もいよう。そもそも可能か不可能か、これは状況次第、そのメリットデメリットはさまざま。

まずメリット。自分が植えたり、記念樹でいただいたものなど、思いがつまっている木は、ほかに代えようがない。未練が残らないのが大きい…その一点かな。それも、ほどほどの大きさならばだけど。

一方、デメリットは山ほどある。樹木へのストレスと費用が主だ。移植には、困難ばかりということも頭にいれておきたい。その木が実生から育ったものであったり、たとえ苗木ほどの大きさから育てたとしても、長い時間、移動していない木の根は、思いのほか地中深くまで伸びている。樹種によって根の伸び方は違うが、実生から育てたものは、真下に深く根がはいっているものが多い。これをいきなり掘り出すのは、ほぼ不可能と考えたほうがいい。

移植の風景、根巻きした植栽たち
ニハソノの庭づくり

その植えてある場所が狭く、重機が届かないようなところであれば、まず無理だ。重機が可能として、もし引っ越しが1~2年後とわかっていれば事前に「根回し」しておく方法がある。秋から冬にかけて地中の根を切り、細かな根が生えるよう促し、移植のストレスに耐える準備をしておくと、新しい土地で育つ可能性が高くなる。しかし、引っ越しの1年前にそんなことができるほど周到なことはほとんどない。急な移植をしても、費用ばかりかさみ、せっかく植えたものが枯れてしまうことも少なからずあるので、業者に断られてしまうことが多いのはそのためだ。

また、植える場所に、その移植したい木が搬入できるかどうかも考えねばならない。庭に充分なスペースがあっても、そこまでユニック車のクレーンで運搬可能であるかどうかは、敷地の状況を業者の目で確認しないとわからないことも多い。(ラフターと呼ぶ、大型のクレーン車は費用がかさむ) 移植する意味と、移植の費用、その後の育ち具合、別な新しい木を植える場合の費用と、いくつかの条件をハッキリさせ、じっくり考えたあとで、木の移動を依頼するかどうか決めよう。一見、移植した方が、新たな木の購入費用がない分、安上がりかと思ってしまうが、それは、「掘りとり、根まき、運搬」の費用を、なぜか忘れているため。費用だけをみれば、あたらしく木を植えた方が、安価で済むケースがじつは多いのである。


それでも、思い入れのある樹木は移植を相談してみよう。この文章は、移植を諦めさせることが主旨ではない。木は生きているので、置き去りにするのは、どこか心がいたむ。新しい生活の地に、家族のように時間を共にした木といっしょに移動できるのが理想だ。….でも、やはり、メリットとデメリットを天秤にかけてみよう。

※ 写真は、移植の様子

リガーデンネタ続く。 今後の予定

3.自然素材を多く
4.庭土の耕転

◇ 2017に既出のものを分割、修正

 



つくば、茨城のお庭屋 ニハソノ 地域の自然に沿った植栽、造園、外構
樹木医・森林インストラクターの経験と知識からのプランづくり