庭木を自然状態で確認する…つくばでつくる自然な庭

自然の豊かな山深くにはいると、高揚する気分で、 「見て!お花が咲いてる!」「おぉぉ、マジきれい」 . . .こんな貧相な語彙のやりとりでも互いに赤面するどころか、2人きりの深山では、おかしいとさえ思わない。うっかりすると、その花は街にもあるセイヨウタンポポで、興味の方向が定まったところで、そこから手をつないだりしてしまったりもする。かくも、山は危ないところだ。

重い荷物を背負ってツライ目にあうためだけに、わざわざ登るだろうか。登山の目的は人それぞれだが、その途中の植物や生物たちに出会うために山に出庭木として植えられる「アオダモ」
写真は、茨城県北部、男体山にてかけてみよう。高度をあげながら、植生が次々に変わっていくさまを実際に体験しよう。植生といっしょに出会う生き物も変わってくるのを見よう。 やさしげな草花を愛でながら、ときどき自分の庭を思い出してはどうだろう。

庭にある植栽の「野生状態」を確認できる機会は案外ないものだ。その植物が現れる標高、その植生帯、生えている場所の状況、例えば南斜面なのか、北斜面なのか、谷間なのか、尾根沿いなのか、岩場なのか、その岩石の性質、水気はどうか、特に気をつけて見たいのは、周りにいっしょに生えているのはどんな種類か、など。ギャップに優先的に育つのは何かなども、自分の目で視て確かめるのは、それぞれの発見からこころも踊る。すると、どのように植え、育てるのかがおぼろげにイメージができてこないか。「適地適木」は林業で使うことばだが、庭での植栽にも通じるものがある。

雑木を使うお庭のプランが最近多いなか、” 庭木としての在り方 ” しか知らずに提案するのは、甚だ心許ない。(提案されるお客さんも、自然状態を説明されずに心配にならないのか ???)本来の生態を知らず、様式のなかで仕事をすると、植物に問題が起きたときに混乱することにもなる。地元やその付近の山を歩くことで、認識をあらたにする植物がいくつかある。事務所に戻り、自分の見てきたことを確認しながら資料を見直し、プラン図を修正、また自然状態を森で再認識する。 自分のなかに情報を入れ、応用して出し、それが抵抗なく繰り返されるところは、登山の運動に加え、ぐるぐると廻る頭のためにも、庭をつくる仕事以外の方にもお薦めできることかと。

◇ 2023, 0622 修正

※ 写真は、茨城県奥久慈、ミズナラが現れるほどの高さに生える「アオダモ( Fraxinus sp.)」


つくば、茨城のお庭屋 ニハソノ 地域の自然に沿った植栽、造園、外構
樹木医・森林インストラクターの経験と知識からのプランづくり~施工・管理まで