ウッドデッキは“太鼓持ち”である。太鼓持ちを知ってる方はどれくらい居るだろうか。今となっては絶滅危惧種だ。環境省のレッドデータの哺乳類の項にも載っている。(←ウソ) 基本、その日の主人のご機嫌をとるため否定など一切しない。主人が黒と言えば白いものも黒なのだ。ウッドデッキはその機能ゆえに優柔不断なチャラ男でもある。あなたの機嫌を察知し、内かと問えば内と答え、外かと尋ねれば外だともいうだろう。
そして、子供の遊び場かと言えばそうだろうし、接客の間と言えばそれもあるし、午睡の特等席でもあるし、布団の干し場としても最高だ。あまりに芸が広いので、縁台あたりからは憎まれてもいるだろう。今、縁台は庭にでるときの階段の役割ぐらいか。
子供達の遊び場にも、陽気さえ良ければママはこれほど楽なところはない。泥が付いたままの手足で絨毯を汚す事にハラハラしなくて済むし、掃除をした室内を砂だらけにすることもない。ママの眉間に皺がよらない分、子供達はのびのび遊ぶ筈だ。ホースで水を撒きだしても、ウッドデッキの上なら構わない。普段から雨ざらし。
これを成す材料は木以外にもあり、流行っているのは木っぽい樹脂製。耐久性が売りだが弊社ではオススメはしない。「気持ち悪い」からだ。木の上に素足をのせたことがある人なら説明しなくてもわかる。プラスチックにのる感じは生理的に受け付けない。何よりルックスがキッチュでチープでおもちゃっぽい。(かわいいという表現もある。)
しかし腐らないことに奥様達は目を輝かす。頭の片隅に近所で無惨に朽ち果てたウッドデッキの光景を見たからだ。そもそも木だから朽ちていくのは当たり前なのだが、すぐに腐るのモノはわけがある。外国産のスカスカの材料に防腐剤を塗布しただけのものだからだ。しっかりした地元産の材料ならば、そんなに心配しなくても良い。その土地で育ったものは、自然にその土地での耐久を身につけている。だからって何十年もは持たないぜ。
何年もの雨ざらしの末、木のアクが抜け、銀灰色になり、木目が浮き上がってきたものを素足で歩く快感は、至って健康で普通である。その普通さが最近は手に入りにくい。地元産の材料を使うほうが「地産地消」でもある。
どちらが「eco」かを判断するのはハッキリ言って無理だ。樹脂は製造過程にどれだけのエネルギーを使っているのか。中途半端な間伐材の処理に困っているなら、地元産の材料はぴったりだろう。地元の山の更新に役立つなら、かなりのエコだぜ、とも思う。
どちらが贅沢だろう。樹脂と地元産でつくったウッドデッキはどちらが欲望に合うのか。
樹脂製の使い方はだいたい想像できるんだ。縁台やナチュラルな木の経験がない方々は、おそらくこちらを選択する。「腐りません」の一言でころぶんだ。このタイプは大方、ウッドデッキの使い方を知らない。その上でどうやって楽しむのか、本当のところわかっちゃいない。エクステリアなんだ。大事に大事に傷などもってのほかと、拭き掃除までして、土足で上がることさえ嫌がるだろう。もちろん「保ち」は良い。買ったばかりの状態が何年も続くだろう。しかしプラスチックのいきなりの経年変化は惨めなもんだぜ。
一方、地元産の材料でつくられたウッドデッキは、おそらく乱暴な使われ方をするだろう。子供が土足でドタバタし、水を撒き、石を並べ、新聞なんか積まれたりして、でもとにかく実用的だ。天気のいい日、ランチは子供とウッドデッキで食べよう。簡単な卓袱台ひとつ、コップに庭で積んだタンポポやツクシでもさしたらサイコーに気分がいい。立て膝でいいじゃない。なにもハンバーグとかこねることはないよ。朝の残りのトーストとチーズ、これも庭から積んだばかりのルッコラやパセリ。
どう?ご馳走なんかなくたって近所に声をかけたくなるでしょ。
※アイアンウッドも奨めません。熱帯雨林をこれ以上切らせるものか。
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